16/08/2026
【霧島 水中洞窟 潜水調査プロジェクト】2026年7月 協働潜水調査
DIVE Explorersは、2026年7月24日から26日にかけて、鹿児島県霧島市横川町の「下ノ第2洞穴」および「大出水の湧水」で、佐世保工業高等専門学校 基幹教育科・眞部広紀特任准教授の研究チーム『洞窟探査計測シミュレーションプログラムアーカイブ(SPACAEM)』との協働潜水調査を実施しました。
今回の潜水は伊左治佳孝と森裕和の2名が行いました。
下ノ第2洞穴は、第一工科大学の髙嶋洋氏が発見し、命名した洞穴です。SPACAEMは2026年4月26日、洞内の水没部に水中ドローン(ROV)を投入した調査で、その先に水中洞窟が続く可能性を確認するとともに、水底で土器の欠片と疑う映像が撮影されました。
今回、DIVE Explorersはこの水中部の有人による実測と記録を担当しています。
大出水の湧水では、湧き口から入って真下へ2メートル。底では横から水が湧き出していましたが、その先は岩で閉塞しており、人が入れる余地はありませんでした。このため同日午後、調査を下ノ第2洞穴に切り替えています。入れなかったことも、潜って分かったことのひとつです。
下ノ第2洞穴の水中部では、器片のような遺物1点、かまど状のものが割れたブロック状のもの2点、猪口のような器1点、焼けたように見える木片2点——計6点を記録しました。いずれも引き揚げは行わず、スケールを入れた撮影と、洞窟内での位置の記録にとどめています。
再訪時に同じ場所へ到達できるよう、遺物の位置までラインを敷設してあります。
一方、ROV映像で土器の欠片と疑っていたものは、今回の潜水では確認できませんでした。
調査結果は、7月25日の夜に霧島市教育委員会へ報告しました。発見したものが何で、いつのものかについては、専門の方々の判断に委ねられます。
また、調査を終えたその日のうちに髙嶋洋氏の研究室を訪ね、この土地の水のしくみについて伺いました。下ノ第2洞穴の水と大出水の湧水は、同じ土地にありながら異なる性質の地下水であることなど、水中で観察してきたことを地質の枠組みの中に置き直す機会となりました。
濁りが残ったため3D計測は次回に持ち越しとなりましたが、ラインを残置したことで、再訪時には同じ場所に到達できます。引き続き調査を進めていこうと思います。
調査の詳細は、フィールドレポートに掲載しています。
https://tech-diving.jp/field/field-explore/kirishima
【今回の報道】
鹿児島テレビ:
https://www.kts-tv.co.jp/news/27947/
南日本新聞
https://373news.com/news/local/detail/237235
06/08/2026
【軍艦「長良」潜水調査の報告】
2026年7月21日、熊本県天草市・牛深沖の海底に沈む軍艦「長良」の潜水調査を、荻原庸介氏と森裕和氏と共に実施しました。
長良は1922年竣工の軽巡洋艦で、第二次世界大戦中の1944年8月7日、鹿児島から佐世保へ向かう途中に牛深沖で雷撃を受けて沈没。本日で82年になります。
事前の情報では、船体は水深80mほどとされていました。海図上の水深も約80m。
しかし当日、魚群探知機が捉えた船体の最底面は水深100m。
80mという情報を信じ切らずに、深い側の準備をしていたことが奏功しました。
潜水時間は162分。ダイバーの到達深度は97.9m。
水底に降りたときには長良の姿はなく、そこからラインを引いて長良を捜索。
発見に成功しましたが、船体のそばにいられたのは6分で、139分は減圧に使うこととなりました。
視認できたのは船体の一部でしたが、その範囲では大きく崩れることも傾くこともなく、甲板を上にして着底していました。
甲板にはもともとロープが張り巡らされ、そこに釣り糸と漁網が大量に絡んでいます。
この深度では、ひとつのミスが浮上計画そのものを崩します。だから不用意には動けない。
艦上の6分でしていたのは、撮影と、帰る方向の保持。
牛深では毎年、長良の慰霊祭が営まれ、軍艦長良記念館も運営されています。
資料は残っている。証言も残っている。それでも、艦そのものが海の底でどうなっているのかは、これまで誰も見たことがありませんでした。
ご遺族からは、遺影に供えるための写真をという声も届いていました。
記録して、待っている方々に返す。今回の潜水は、そのための工程です。
潜水そのものは、探検の2割に満たない。
残りの8割は、船と船長、ダイバーやROVによる水面と中層のサポート、そして事前のトレーニングでできていました。
▼調査の詳細(DIVE Explorers 調査レポート)
https://tech-diving.jp/field/field-explore/pj-nagara
▼寄稿:潜水計画、ガスの選択、船体が見えなかったときの捜索、139分の減圧まで──調査の全体像を ダイビングマガジンのocean+α(オーシャナ)に寄稿しました。
https://oceana.ne.jp/diving/voice-reviews/151736
▼報道(抜粋)
熊本放送:
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2816826?display=1
報道ステーション
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/900195538.html
調査体制:
ダイビングショップ・トミカワ(船/船長・冨川光)
美喜丸(船/船長・松本幸喜)
株式会社ベルポート宇土(ROV/村井一道)
株式会社ライトスタジオ(ROV/石松義朗)
潜水:伊左治佳孝、荻原庸介、森裕和
写真:伊左治佳孝
#長良 #沈船 #テクニカルダイビング
23/07/2026
DIVE Explorersは、2026年7月24日(金)から26日(日)にかけて、鹿児島県霧島市の「下ノ第2洞穴」および「大出水の湧水」で、佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)基幹教育科・眞部広紀特任准教授の研究チーム『洞窟探査計測シミュレーションプログラムアーカイブ(SPACAEM)』との協働潜水調査を実施します。
下ノ第2洞穴は、同チームが2025年に発見・命名した洞穴です。2026年4月26日、洞内の水没部に水中ドローン(ROV)を投入した調査で、その先に水中洞窟が続いていることを確認するとともに、水底で土器状の物体を発見しました。まだ、人の目では確認されていません。
大出水の湧水は、毎分22トンが湧き出す、地域の生活・観光資源です。こちらは水流が強く、水中ドローンでは水中部を確認しきれていません。
3日間の調査では、両地点で水中部の測量を行い、下ノ第2洞穴では土器状の物体の記録を実施します。取り上げは行わず、スケールを入れた撮影、写真測量、洞窟内での位置の記録までを行います。物体の評価は、専門の研究者・関係機関に委ねられます。
ロボットが可能性を広げ、人が確定させる。研究者と実務潜水者による、相補的な調査手法の実証です。
経緯と計画はレポートをご覧ください。
https://tech-diving.jp/field/field-explore/pj-kirishima
写真:藤井雄基(調査チーム)
14/07/2026
【調査記録】南大東島「黒の洞窟」── 新種のヨコエビ Bogidiella isajii
先日、当ページでお伝えした『情熱大陸』で紹介された各地を、DIVE Explorersの調査記録として取り上げています。今回は、沖縄県・南大東島の地下に広がる水没鍾乳洞「黒の洞窟」からの報告です。
この洞窟の暗く塩分を含む水中から、体長数ミリの新種のヨコエビが確認され、Bogidiella isajii(イサジカンゲキヨコエビ)として記載されました。種小名 isajii は、発見・採取を行った、DIVE Explorersの伊左治佳孝にちなんで命名されたものです。
水中を漂う数ミリの透明な生物を、潜水中に目視で探し、傷つけないよう容器で採取する。持ち帰った個体を撮影・記録し、分類の専門家へと繋ぐ。こうした一連の作業によって、これまで名前のなかった生物が、記録として残されていきます。
種の記載は分類学者の専門的な仕事であり、今回の命名も研究者の方々によるもので、我々に実施することはできません。
一方で、到達が困難な水中環境において生物を発見・採取・記録する作業は、我々にしか実施することができません。
今回の記載は、研究者の方と我々の協働が成果を上げられるという実証でもあります。
DIVE Explorersでは、このような実践から得られた知見や技術を、テクニカルダイビングにフィードバックしていきます。
黒の洞窟には、ほかにもまだ記載されていない生物が確認されています。今後も調査記録として報告していきます。
▼ 調査の詳細レポートはこちら
https://tech-diving.jp/pj-southdaito
#新種 #南大東島 #黒の洞窟 #水中洞窟 #ケーブダイビング
07/07/2026
【軍艦「長良」沈船調査プロジェクト】
7月6日、熊本県天草市で記者会見を行い、旧日本海軍の軽巡洋艦「長良」の潜水調査を発表しました。
「長良」は1944年8月7日、天草市・牛深沖で米潜水艦の雷撃を受けて沈没し、583名の乗組員のうち348名が亡くなったとされています。牛深では、行商をしながらたった一人で供養を続けた佐々木ツルさん(1986年没)の想いを地域が引き継ぎ、いまも毎年、命日の8月7日に合わせて慰霊祭が営まれています。
調査は7月20日から22日のうち、海況の良い1〜2日間で実施します。水中探検家・伊左治佳孝を含む3名の潜水チームが水深約80mの船体に到達し、写真と映像で記録します。遺骨や遺品の収容は行いません。記録は、ご希望のご遺族、軍艦長良記念館、地域にお渡しします。国内に眠る旧日本海軍の軍艦の有人撮影が実現すれば、初の記録になるとされています。
水深約80m・外洋という難易度の高い潜水となるため、本番環境を想定したトレーニングとシミュレーションを重ね、安全を最優先した計画で臨みます。
会見には、長良艦長のご遺族・西中誠一郎氏、長年慰霊活動に尽力されてきた天草市社会福祉協議会 元常務理事・福本壮一氏、水中ドローン(ROV)で調査をサポートいただくベルポート宇土(熊本県宇土市)・村井一道氏にご同席いただきました。
プロジェクトの詳細・経緯:https://tech-diving.jp/field/field-explore/pj-nagara
写真: 2枚目は長良の最期を伝える1998年8月12日付の新聞紙面。4枚目は、慰霊に生涯を捧げた佐々木ツルさんの肖像『祈り』(軍艦長良記念館 展示)です。
14/06/2026
【MBS/TBS系『情熱大陸』に出演します】
DIVE Explorers代表の伊左治佳孝が、MBS/TBS系『情熱大陸』に出演します。
番組では、水中洞窟や地底湖、大深度の沈船、水没炭鉱など、通常は立ち入ることが難しい水中環境に入り、調査し、記録する活動に密着していただきました。
水中探検というと、水中へ入る場面が注目されます。
しかし実際には、探検の多くは、潜る前の準備と、潜った後の記録によって成り立っています。
現地調整、器材準備、撮影、測量、撤退判断、記録整理。
そして、水中で得た記録を、研究者・地域・メディア・関係者へ共有していくこと。
DIVE Explorersでは、そうした探検と調査の現場から逆算したテクニカルダイビング技術を指導しています。
今回の放送を通じて、水中探検という活動や、調査・記録のためのテクニカルダイビングについて、より多くの方に知っていただく機会になれば幸いです。
【放送予定】
MBS/TBS系『情熱大陸』
6月21日(日)23:00〜23:30
番組公式ページ:
https://www.mbs.jp/jounetsu/2026/06_21.shtml
TVer(リアルタイム配信)・放送後1週間の見逃し配信
https://tver.jp/series/srz38rt0a3
水中探検家・伊左治佳孝のプロフィール:
https://tech-diving.jp/profile
実施しているプロジェクト:
https://tech-diving.jp/field/field-explore
伊左治佳孝(水中探検家) | 情熱大陸 | MBS 毎日放送
僕が貢献できる場所はどこなのか水中の“未踏”を拓く探検家の生き方
30/05/2026
【ラオス洞窟救助|生存が確認されていた5人の救出が完了しました】
ラオスの洞窟内、廃鉱となった金鉱山内に閉じ込められていた方々のうち、生存が確認されていた5人全員を洞窟外へ救出することができました。
一方で、まだ行方が確認されていない方々がいるため、現地では引き続き捜索・対応が続いています。
洞窟内は、動画にもあるような非常に狭い通路を長い距離にわたって抜ける必要がありました。
約200mにわたる狭い通路を抜けた先に、さらに水没した区間があり、その奥に生存者が取り残されているような構造でした。
1人は昨日、潜水器材を装着してもらい、救助隊員が誘導する形で水没部を通過して救出しました。
残る4人については、奥まで排水ポンプを運び込み、水没部の水を抜くことで、洞窟外へ出すことができました。
本日の現地時間15時頃までに5人全員が洞窟外へ出ましたが、その後17時頃から現地では強い雨となりました。
時間的にも、非常に厳しい局面だったと感じています。
今回は、結果的に私は潜水せずに救助を完了できました。
それでも、このような救助活動のメンバーとして要請を受けたことは大変光栄であると同時に、重い責任を感じるものでした。
また、海外の洞窟潜水・救助関係者と日頃から関係を築いておくことの重要性も、あらためて強く感じました。
今回の救助活動からは、多くの学びと課題がありました。
次にこのような事態に関わる時、そして日本国内で洞窟内の救助が必要になった時のために、技術、装備、連携、情報共有の面で、さらに準備を整える必要があると感じています。
帰国後、そのための準備も進めていきたいと思います。
まずは、生存が確認されていた5人が洞窟外へ出られたことに安堵しています。
そして、今も行方が確認されていない方々の発見と、現地で対応を続けるすべての関係者の安全を願っています。
27/05/2026
【ラオスでの洞窟救助活動に合流するため、現地へ向かいます】
ラオスで、水没した洞窟内に取り残された方々の救助活動が続いています。
現地ではすでに国際チームが活動しており、7人のうち5人の生存が確認された一方で、まだ救助活動は継続している状況です。
DIVE Explorersの伊左治 佳孝は、現地で潜水活動に参加しているMikko PaasiとPor Parasu Komaradatからの推薦と要望を受け、現地チームに合流するためラオスへ向かいます。
MikkoとPorを含め、今回の現場で活動しているメンバーの中には、これまで私の探検・調査にも参加してくれた仲間がいます。
ただし、今回の主役は救助を待つ方々であり、すでに現地で活動を続けている救助関係者の皆様です。
洞窟内の詳細な状況、潜水計画、技術的な内容については、現地活動の安全と関係者への配慮を優先し、現時点では発信を控えます。
まずは現地チームの判断に従い、必要とされる役割を果たせるよう行動します。
取り残されている方々が、一刻も早く無事に救助されることを願っています。
水没した洞窟に閉じ込められた7人、ダイバーらが懸命の救出活動 ラオス
ラオス中部のサイソンブン県で、水没した洞窟の奥に住民7人が閉じ込められたまま1週間近く身動きできなくなっている。25日にはタイのベテラン洞窟ダイバーらが加わり、狭い洞窟を抜けて7人の救出を目指す作業が始まっ....