Darts Physics Laboratory 大阪

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Darts Physics Lavoratory (DPL)は、日本のダーツ業界全体の理論確立、業界のスキ?

05/09/2026

「腕を振れば、ダーツは勝手に離れる」というのなら、テニスラケットも飛んでいく。

ダーツが離れるのは、腕を振ったからではない。

適切な瞬間に、指の保持を解いているからである。

「勝手に離れた」と感じるのは、
リリースが存在しないからではなく、
その操作が無意識にできるほど自動化されているからだ。

意識していない動作と、何もしていないことは同じではない。

04/09/2026

【フォームが崩れたのではなく、身体の感じ方が変わったのかもしれない】

「昨日まで普通に投げられていたのに、今日は腕がうまく動かない」

「同じように構えているつもりなのに、位置が定まらない」

「動画では大きく変わっていないのに、自分の感覚はまったく違う」

ダーツをしていると、このような日があります。

そんなとき、私たちはすぐに、

「フォームが崩れた」
「投げ方を忘れた」
「もっと練習しなければ」

と考えてしまいます。

しかし、変わったのはフォームだけではなく、身体の感じ方かもしれません。

私たちは目で確認しなくても、腕や肘の位置、身体の傾き、力の入り具合、バレルの握り、腕の重さなどを感じながら投げています。

こうした身体感覚には、筋肉、腱、関節、皮膚からの情報だけでなく、視覚や平衡感覚なども関係しています。

脳はそれらを統合し、身体がどこにあり、どのように動き、どのくらい力を出しているのかを推定しながら、動きを調整しています。

ただし、その感じ方はいつも一定ではありません。

疲労、睡眠不足、痛みや違和感、緊張や不安、視覚環境の変化などによって、身体の感じ方や力の出し方が変わることがあります。

例えば、腕が重く感じれば、無意識に強く動かそうとするかもしれません。

肩に痛みや窮屈さがあれば、別の関節や筋肉で動きを補うことがあります。

指先やバレルの感覚が違えば、いつもより強く握ることもあるでしょう。

その結果として、

「肘の動きが変わった」
「テイクバックが浅くなった」
「リリースのタイミングがずれた」

といった変化が現れる可能性があります。

ただし、身体感覚が変わったためにフォームが変化したのか、フォームが変化したために感覚も変わったのか、疲労や痛みなどが両方に影響したのかは、映像だけでは判断できません。

実際に技術的な問題が起きている場合もあります。

だからこそ、

「肘が動いたから固定する」
「腕が左へ出たから右へ出す」
「リリースが遅れたから早く離す」

と、見えた動きだけをすぐに修正することには注意が必要です。

見えている動きは原因ではなく、別の問題を補うために生まれた結果かもしれないからです。

調子が悪いときは、フォームだけでなく、

「今日は身体をどう感じているか」
「痛みや窮屈さはないか」
「疲労や睡眠は普段と違わないか」
「指先やバレルの感覚はどうか」
「練習と試合で違いはあるか」
「いつから投げにくくなったのか」

も確認してみてください。

そして、本人の感覚、映像上の動き、ダーツの飛び、結果を一緒に見ながら、原因の候補を絞っていきます。

現在の研究だけで、「身体感覚の変化がダーツフォームを崩す」と断定することはできません。

しかし、疲労、痛み、睡眠不足、緊張などが身体感覚や運動の調整に影響し得ることを考えれば、フォーム以外にも目を向ける意味はあります。

フォームは、身体から切り離された形ではありません。

その日の身体、感覚、注意、環境の中で生まれる動きです。

だから投げにくい日に、すぐに「フォームを壊してしまった」と考える必要はありません。

形を直す前に、その動きが生まれた条件を見る。

見えている違いだけでなく、なぜ違いが生まれたのかを考える。

そこから、その人に必要な方法を一緒に探していく。

それが、私の考えるダーツレッスンです。

03/09/2026

脱力は、意識してつくるものではない。

必要な力をダーツに正しく伝えられた先で、

余計な力が自然と消えていく。

それが、本当の脱力。

03/09/2026

【ゾーンを追いかける必要はない】Part3

優れたパフォーマンスを発揮するために、フローが必須であるとは確認されていません。

スポーツ心理学では、優れたパフォーマンスに伴う心理状態として、フローとは異なる「クラッチ状態」という考え方も提案されています。

フローでは、

・自然に集中できる
・動作が自動的に感じられる
・余計な自己意識が少なくなる
・比較的少ない努力感で実行できる

といった特徴が報告されています。

一方、クラッチ状態では、重要な場面で強いプレッシャーを感じながらも、

「ここは絶対に決める」

と意図的に集中を高め、普段以上の努力を投入することで、高いパフォーマンスを発揮すると考えられています。

つまり、優れたパフォーマンスは、

「何も考えず、自然に投げられた」

というときだけに生まれるわけではありません。

「緊張していたけれど、最後まで集中して投げ切った」

というときにも、よい結果を出すことはできます。

ただし、クラッチ状態は、フローとは異なる心理状態として研究上提案されている段階です。

フローと完全に区別できる独立した状態なのか、どの競技や競技者にも当てはまるのかについては、まだ十分に分かっていません。

ダーツで注意したいのは、「ゾーンに入ろう」と意識しすぎることです。

「今はゾーンに入っているか」

「無心になれているか」

「余計なことを考えていないか」

と自分の心理状態を何度も確認すると、注意が目の前の一投から、自分自身の内側へ移ってしまう可能性があります。

また、

「肘は動いていないか」

「力は抜けているか」

「リリースは合っているか」

と、一度に多くの動作を意識的に管理しようとすると、十分に習熟した動作がかえって行いにくくなる場合もあります。

これは、身体へ注意を向けることが、すべて悪いという意味ではありません。

技術を覚える段階や、練習中に特定の動作を修正するときには、身体の動きを意識することが役立つ場合があります。

問題になりやすいのは、試合中に確認する項目が増えすぎて、狙う場所や投げる目的など、その一投に必要な情報へ注意を向けられなくなることです。

雑念を完全になくす必要もありません。

緊張、不安、過去のミス、結果への心配などが頭に浮かぶのは、競技中に起こり得る自然な反応です。

「考えないようにしよう」と無理に抑えようとすると、かえってその考えが気になることもあります。

大切なのは、雑念が一切浮かばない状態をつくることではありません。

雑念に気づいたあと、可能な範囲で、再び目の前の一投へ注意を戻すことです。

現在の研究では、確実にゾーンやフローへ入る方法は確立していません。

マインドフルネス、イメージトレーニング、音楽、催眠、目標設定など、さまざまな方法が研究されています。

一部の研究では、フローを構成する特定の要素が高まったと報告されています。

しかし、研究規模が小さい、対照条件が不十分、測定方法が統一されていないなどの問題があり、どの方法でも確実にフローを引き起こせるという証拠はありません。

だからこそ、ゾーンという自分では直接操作しにくい状態を追いかけるよりも、

・狙う場所を決める
・その一投の目的を明確にする
・普段のルーティンを行う
・試合中に確認する項目を増やしすぎない
・結果を確認し、必要なことだけ調整する

といった、自分で実行できる行動に集中する方が現実的です。

技能と課題の難しさ、注意の向け方、自信、身体の状態、周囲の環境などがうまくかみ合うことで、結果としてフローが生じやすくなる可能性はあります。

ただし、これらはフローを生み出すための確立した必要条件や十分条件ではありません。

条件を整えてもフローに入らないことはあります。

反対に、フローに入っていないと感じていても、良いダーツを投げられることはあります。

緊張していても、雑念があっても、努力している感覚があっても、その中で自分の力を発揮できる場合があります。

目標にしたいのは、

「必ずゾーンに入ること」

ではなく、

「ゾーンに入っていないときでも、今の状態で可能な範囲で、その一投に必要な行動へ注意を戻すこと」

です。

ゾーンに頼らなければ力を発揮できない状態を目指すのではなく、さまざまな心理状態の中でも、自分で調整できる行動を続けられるように準備しておく。

それが、ゾーンそのものを目標にするよりも、現時点では実践しやすい考え方です。

02/09/2026

【ゾーンに入ると成績は上がるのか】Part2

ゾーンに入ると、本当に成績はよくなるのでしょうか。

スポーツやコンピューターゲームを対象とした20論文・22研究のメタアナリシスでは、フローの強さと成績の間に、中程度の正の関連が認められました。

効果量は、(r=0.31)でした。

簡単に言えば、

「フローを強く感じたときほど、成績もよい傾向がある」

ということです。

ただし、これは「フローに入ったから成績が上がった」と証明したものではありません。

少なくとも、次の三つの可能性があります。

①フローになったことで、成績が上がった
②成功が続いたことで、フローを感じやすくなった
③自信、体調、疲労、熟練度、課題の難しさなどが、フローと成績の両方に影響した

例えばダーツが入り続けると、自信が高まり、失敗への不安や過剰な自己監視が減ることがあります。

その結果、目の前の一投に集中しやすくなり、動作も自然に感じられるかもしれません。

そして試合後に振り返ったとき、

「今日は最初からゾーンに入っていた」

と感じる可能性もあります。

つまり、ゾーンと好成績は一緒に現れやすいものの、

「ゾーンが好成績を生んだのか」

「好成績によってゾーンを感じたのか」

については、現在の研究だけでは判断できません。

また、ゾーンについては、

「前頭前野の働きが低下し、余計な思考が減ることで、身体が無意識に動く」

と説明されることがあります。

しかし、これは現時点では仮説の一つです。

脳科学研究では、注意、実行機能、自己認識、報酬などに関係する脳活動の変化が報告されています。

一方で、研究によって結果は異なり、反対の活動パターンが報告されることもあります。

そのため、フローに特有の脳活動や神経メカニズムは、まだ一貫して特定されていません。

「ゾーンに入ると、考える脳が止まる」

「意識がなくなり、身体が勝手に動く」

と説明するのは、現在の科学的証拠を超えた単純化です。

現時点で最も正確に言えるのは、

「フローと好成績には一定の関連がある。しかし、因果関係や脳内で何が起きているのかは、まだ十分に分かっていない」

ということです。

01/09/2026

【「ゾーン」は本当に存在する?】

スポーツをしていると、まれに不思議な感覚になることがあります。

「周囲の音が気にならなくなった」

「身体が勝手に動くように感じた」

「余計なことを考えず、目の前のプレーに集中できた」

「時間がゆっくり流れているように感じた」

このような状態は、一般的に「ゾーンに入った」と表現されます。

では、ゾーンは本当に存在するのでしょうか。

結論から言えば、ゾーンに近い体験は、多くの競技者から繰り返し報告されています。

心理学では、これに近い状態を「フロー」と呼びます。

フローには、

・目の前の課題に深く没頭する
・動作が自然に進んでいく
・余計な自己評価が減る
・高い集中とコントロール感がある
・時間の感覚が変化する
・努力しているのに楽に感じる

といった特徴があります。

そのため、ゾーンは完全な思い込みではなく、一定の共通性をもつ心理的体験として研究されています。

ただし、ゾーンが境界の明確な一つの状態なのか、複数の心理現象をまとめた呼び名なのかは、まだ確定していません。

研究によってフローの定義や測定方法も異なります。

したがって、

「ゾーンという特別な脳状態が、明確に存在する」

とまでは断定できません。

31/08/2026

【フォームだけでなく、身体の状態や感じ方も変わっているのかもしれない】

「昨日まで普通に投げられていたのに、今日はしっくりこない」

「同じように構えているつもりなのに、腕の位置が定まらない」

「動画では大きく変わっていないのに、投げている感覚が違う」

ダーツをしていると、このような日があります。

そんなとき、

「フォームが崩れた」
「投げ方を忘れた」
「もっと練習しなければ」

と考えてしまうことはありませんか?

もちろん、投げ方を確認することは大切です。

ただし、投げにくさを考えるときには、フォームだけでなく、その日の身体の状態や感じ方にも目を向ける必要があります。

私たちは、目で見なくても、腕がどこにあるのか、肘がどのくらい曲がっているのかを、ある程度感じ取ることができます。

筋肉や皮膚、関節などから届く情報を、脳が組み合わせているからです。

力加減の感覚には、身体からの情報に加えて、「どれくらい力を出そうとしているか」も関わっています。

こうした感覚は、いつでもまったく同じとは限りません。筋肉の疲労によって、腕の位置を判断する正確さが変化した研究もあります。

ただし、投げにくい原因が、すべて身体感覚にあるわけではありません。

動画で変化が目立たなくても、筋肉の力の入れ方や、指先にかかる圧力、リリースの細かなタイミングが変わっている可能性もあります。

「感覚が違うからフォームが悪い」
「動画が同じだから身体に問題はない」

どちらも、すぐには決められないのです。

だからこそ、投げ方を大きく変える前に、少し立ち止まって確認してみてください。

・昨夜は十分に眠れたか
・仕事や練習の疲れが残っていないか
・首や肩に普段より力が入っていないか
・構えている間、息を止めていないか
・立ったときに窮屈さや痛みがないか
・休憩すると投げた感覚が変わるか

ダーツを投げる腕は、身体から切り離されて動いているわけではありません。

足や体幹が姿勢を支え、その上で肩、肘、手首、指を動かしています。

ただし、全身を大きく動かしたり、左右を完全にそろえたりすればよい、という意味でもありません。

大切なのは、見た目の形だけでなく、自分にとって無理なく立てるか、動かせるかを確認することです。

鍼灸の相談でも、つらい場所だけを聞いて終わるのではなく、

「いつから気になるのか」
「どんな動作で感じるのか」
「休むとどう変わるのか」
「睡眠や仕事の状況はどうか」

といった情報を一緒に整理することを大切にしています。

当院では、動きやすさや筋肉の緊張などを確認し、日本伝統鍼灸の視点から脈や腹部、背中の所見も参考にします。

これらだけで原因を断定するのではなく、お話や身体の状態を照らし合わせ、対応を考えていきます。

鍼灸を受ければ身体感覚が正確になり、ダーツが上達する、と約束することはできません。

身体を確認することと、鍼灸が必要かどうかを判断することも別です。

休息や生活の見直しが必要な場合もあれば、症状によっては医療機関での評価を優先する場合もあります。

ダーツレッスンでは、投げ方と結果を照らし合わせる。

身体の相談では、困っていることと、その日の身体の状態を照らし合わせる。

どちらにも共通するのは、最初から原因や正解を決めつけず、自分に必要なことを探す姿勢です。

「投げ方の問題なのか、身体の問題なのか分からない」

そんな段階でも、気になることを言葉にしてみてください。

最近、投げ方を直すことに集中しすぎて、投げている自分の身体を見過ごしていませんか?

※しびれや脱力、痛みが続く場合は、感覚やフォームの問題と自己判断せず、医療機関へご相談ください。

30/08/2026

「恐れはダークサイドへの道」

ダーツで本当に怖いのは、ミスそのものではない

「恐れはダークサイドへの道。
恐れは怒りに通じる。
怒りは憎しみに通じる。
憎しみは苦しみに通じる。」

スター・ウォーズに登場する、ヨーダの有名な言葉です。

もちろん、これは心理学の公式ではありません。

しかし、ダーツを長く続けている人ほど、どこか心当たりがあるのではないでしょうか。

大事な試合で一本外す。

「また外したらどうしよう」

という不安が生まれる。

次の一本では、

「今度こそ入れないと」

と思う。

そして、

「肘を動かさないように」
「真っ直ぐ腕を出そう」
「指に引っかけないように」

と、普段なら自然に行っている動作まで細かく確認し始める。

ところが、意識すればするほど投げにくくなる。

また外れる。

「なんでできへんねん」

と焦る。

さらに投げ方を修正する。

グリップを変える。
肘の高さを変える。
テイクバックを変える。

気づけば、一本のミスをきっかけに、

「もう投げ方が分からない」

となっている。

このとき、本当に問題だったのは最初のミスでしょうか。

もしかすると、

ミスそのものではなく、ミスに対する反応によって問題を大きくしている

のかもしれません。

スポーツ心理学では、プレッシャーによってパフォーマンスが低下する理由の一つとして、失敗への心配に注意を奪われたり、普段は自動的に行っている動作を必要以上に意識して操作したりすることが考えられています。

もちろん、フォームを意識すること自体が悪いわけではありません。

技術を覚えたり、練習で動きを修正したりするときには必要です。

問題なのは、

「外したくない」という恐れから、試合中に投球を必要以上にコントロールし始めること。

「また引っかかったらどうしよう」



指を意識する



リリースを操作する



いつもとタイミングが変わる



また外れる



「やっぱりおかしい」



もっと意識する

こうして、

恐れ → 過剰なコントロール → ミス → 焦り → さらに大きな恐れ

という循環に入ることがあります。

そして、もう一つ注意したいのが、

「上手くなりたい」

が、

「上手くならなければいけない」

に変わることです。

「レーティングを落としてはいけない」

「下手だと思われたくない」

「これだけ練習しているんだから入れなければいけない」

そうなると、ダーツが、

上達するためのものから、自分の価値を証明するもの

に変わっていきます。

RTが上がれば嬉しい。
下がれば悔しい。

それは自然です。

でも、

RTが上がる=自分には価値がある
RTが下がる=自分には価値がない

ではありません。

BULLを外した。

これは事実です。

しかし、

「自分は下手だ」
「才能がない」
「もう上手くならない」

というのは、その結果に対する解釈です。

だから、

「外した」と「自分はダメだ」を分ける。

一本のミスから必要な情報を取り出し、次に活かせばいい。

結果は、

「自分を評価する材料」ではなく、
「自分を知るための情報」

として扱う。

そして、恐れをなくそうとする必要もありません。

試合で緊張してもいい。

「外したらどうしよう」と思ってもいい。

目指したいのは、

「怖くない自分」ではなく、
「怖くても投げられる自分」です。

手が震えていても、

呼吸を整える。

いつものルーティンに入る。

ターゲットを見る。

そして投げる。

前の一本を外していても、次の一本は次の一本です。

ヨーダの言葉をダーツに置き換えるなら、

恐れることが問題なのではない。
恐れに支配され、自分の投球まで壊し始めることが問題なのだ。

一本外した。

それは、あなたを否定するものではありません。

一本のダーツが教えてくれるのは、

あなたの価値ではなく、その瞬間の結果だけです。

だから、

ミスを恐れない選手になる必要はありません。

目指したいのは、

ミスをしても、自分を見失わない選手になること。

恐れがあってもいい。
緊張してもいい。
外してもいい。

それでも、次の一本に戻ってこられる。

ダーツで本当に強いのは、そういう選手なのかもしれません。

29/08/2026

【飲み物・カフェイン・サプリメントで、試合の緊張は抑えられるのか】

試合中の緊張を落ち着かせるために、水分を多めに取ったり、コーヒーやサプリメントを利用したりする人もいます。

しかし、飲み物やサプリメントは、摂れば摂るほどよいわけではありません。

大切なのは、緊張を無理に消すことではなく、脱水、胃腸の不快感、過剰な覚醒など、普段の動きを妨げる要因を増やさないことです。

■水分補給は「不足も過剰も避ける」

ダーツは通常、持久系競技ほど大量の汗をかく競技ではありません。

室温が快適で発汗も少なければ、基本的には水で十分です。喉の渇きや発汗量に合わせ、胃が重くならない範囲で飲みます。

「必ず少量ずつ飲まなければならない」という科学的な決まりがあるわけではありませんが、短時間の一気飲みは胃の不快感や頻尿につながるため、試合前から適量を分けて飲む方が実践的です。

スポーツドリンクが便利なのは、

・暑い会場で汗を多くかく
・大会が長時間に及ぶ
・食事を取れず、糖質も補いたい
・発汗による塩分損失が多い

といった場合です。

発汗が少なく食事も取れているなら、電解質飲料を常に飲む必要はありません。水分不足だけでなく、必要以上の一気飲みも避けることが大切です。

■カフェインは味方にも敵にもなる

コーヒー、緑茶、エナジードリンク、プレワークアウトなどにはカフェインが含まれています。

カフェインは眠気を抑え、覚醒度や注意力を高める可能性があります。一方で、摂取量や体質によっては、

・動悸
・落ち着かなさ
・不安感
・発汗
・胃腸症状
・睡眠障害
・手や腕の震え

を強めることがあります。

2024年のメタ解析でも、健康な成人でカフェイン摂取後に不安が強まる傾向が示され、特に高用量で影響が大きくなっていました。

ただし、カフェインを摂れば必ず震えたり、ダーツの精度が落ちたりするわけではありません。精密課題では、注意力を助ける結果と、震えや過剰な覚醒によって正確性を妨げる結果の両方があります。

そのため、一律に禁止するのではなく、練習で自分の反応を確認します。

・摂取量と時刻
・緊張度
・動悸や震え
・集中力
・ダーツのまとまり
・その夜の睡眠

を記録すると判断しやすくなります。

普段から多量のカフェインを摂っている人が、本番当日に突然ゼロにすると、頭痛、眠気、疲労感、注意力低下などの離脱症状が出ることがあります。減らす場合は、試合当日ではなく練習期間から段階的に調整します。

■サプリメントの効果は限定的

L-テアニンには、実験的ストレスに対する主観的不安や一部の生理指標が改善した小規模研究があります。

一方で、不安障害を対象とした試験でプラセボを上回らなかった報告もあります。

マグネシウムも神経や筋肉の働きに必要ですが、試合直前に飲めば緊張が収まる即効薬ではありません。

不足している人には補う意味がありますが、栄養状態が正常な人が追加摂取して、競技不安が下がるかは分かっていません。過剰摂取による下痢や、腎機能が低下している人での蓄積にも注意が必要です。

■アルコールや薬で抑えるのは危険

アルコールで一時的に不安が弱まったように感じても、注意力、判断力、反応、細かな運動制御を損なう可能性があります。

飲み物やサプリメントの役割は、緊張を消すことではありません。

普段の身体状態を崩さず、緊張していても、いつもの投球へ入りやすい土台を整えることです。

28/08/2026

【スポーツの緊張を落ち着かせる食べ物はあるのか】 試合前の食事を科学的に考える

試合が近づくと、心拍数が上がる。

手が震え、身体が固くなり、「失敗したらどうしよう」と考えてしまう。

このようなとき、「何かを食べれば緊張を抑えられないか」と考える人は少なくありません。

しかし、現在の研究では、試合直前に食べるだけで競技中の緊張を確実に抑えられる食品は確認されていません。

食事の役割は、緊張を直接消すことではなく、空腹、胃もたれ、腹痛、満腹感など、競技の妨げになる要因を減らし、普段に近い身体状態をつくることです。

とくにダーツのように、注意の安定や手指の細かな運動制御が求められる競技では、

緊張していても、普段の投球手順に入れる状態をつくる

ことが重要になります。

Part 1 緊張を落ち着かせる食べ物はあるのか

バナナ、チョコレート、ナッツ、ヨーグルトなどは、「緊張を落ち着かせる食品」として紹介されることがあります。

これらには、糖質、マグネシウム、トリプトファンなどが含まれています。

しかし、

「神経系に必要な栄養素が含まれている」

という説明と、

「試合直前に食べると緊張が低下する」

という効果は同じではありません。

例えば、トリプトファンはセロトニンの材料になります。しかし、通常の食品を一度食べることで、脳内のセロトニン活動が競技不安を抑えるほど変化するかは確認されていません。

マグネシウムも身体に必要ですが、不足を補うことと、栄養状態が正常な人の緊張を直前に抑えることは別の問題です。

バナナやチョコレートは意味がないのか

バナナに、緊張を直接抑える特別な作用が証明されているわけではありません。

ただし、

消化しやすい
持ち運びやすい
少量の糖質を補給できる
空腹感を和らげやすい

という実用上の利点があります。

チョコレートも、好きなものを食べることで一時的に安心感を得られる可能性はあります。

ただし、競技不安を安定して抑える方法としては確立していません。製品によっては糖分、脂質、カフェインを多く含むため、食べすぎには注意が必要です。

つまり、これらの食品が悪いのではありません。

「食べれば緊張が消える」と考えることに、十分な科学的根拠がないということです。

試合前の食事で優先すること

試合前に優先したいのは、次の条件です。

食べ慣れている
胃腸症状が起こりにくい
空腹にも満腹にもなりすぎない
普段の食事から大きく変えない

ダーツは、持久系競技のように筋グリコーゲンを大量に消費する競技ではありません。そのため、試合前に大量の炭水化物を摂取する必要性は確認されていません。

ただし、長時間の大会では、炭水化物を適量含む食事や補食が、空腹感や疲労感を避けるために役立ちます。

試合の2〜4時間前には、ご飯、魚、卵、うどん、パンなど、食べ慣れた通常の食事を満腹になりすぎない量で取ります。

試合の30〜60分前に空腹があれば、

小さなおにぎり
バナナ半分〜1本
カステラ
クラッカー
少量のゼリー飲料

などを少量取ります。空腹がなければ、無理に食べる必要はありません。

脂質や食物繊維も一律に避ける必要はありません。

避けたいのは、食べ慣れていないもの、普段より極端に多い量、自分が胃もたれや腹痛を起こしやすいもの、試合直前の大量摂取です。

まとめ

試合前の食事で考えるべきなのは、

何を食べれば緊張が消えるか

ではなく、

何を、いつ、どのくらい食べれば、余計な不調を増やさずに済むか

ということです。

食事は緊張を消すためのものではありません。

緊張していても普段の動きに入れるように、身体の土台を整えるためのものです。

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